海洋深層水の起源、特徴

1.海洋深層水の起源
1980年代、コロンビア大学のブロッカー教授はコンベアーベルトと言われる、図-1に示す海洋大循環モデルを提唱されました。海洋大循環モデルでいう海洋深層水は北極あるいは南極で海底に沈み込み、二千数百年掛けて地球を循環しています。

2.海水の層構造と海洋深層水の特徴
図-2に大西洋、太平洋における水温、塩分濃度、溶存酸素量の南北縦断図を、図-3に大西洋、インド洋、南太平洋、北太平洋における、水温と塩分濃度の実測値(アルゴ計画)を示します。海水は深さ方向にほとんど混ざり合っていないことが判ります。

図-4に、館山沖、日本海における溶存酸素量の深さ方向の変化を示します。海洋大循環モデルを起源とする館山沖では水深1,000付近で溶存酸素量の最小値(最も古い海水)があります。

図-5に館山沖における水温、塩分濃度、栄養塩濃度、溶存酸素量、熟成性(沈み込んで以来の年数)の深さ方向のイメージを示します。水深1,000mの海洋深層水はその起源から低温安定性、富栄養性、清浄性、熟成性、ミネラル特性などの特性が際だちますが、この特性を生かせるかどうかが課題になります。

図-1 ブロッカーのコンベアーベルト

図-2 水温、塩分濃度、溶存酸素量の南北縦断図

北極はグリーンランド海、ラブラドル海で、南極はウェッデル海で沈み込んだ海洋深層水は水深3,000m~6,000mを進み、流れ着いた先で湧昇しています。湧昇の過程で中層水、表層水と混合されます。

図-3 アルゴ計画の観測ポイントと水温の深さ方向実測値

水温、塩分濃度の深さ方向分布形状は海域ごとに異なり、層構造が推測されます。北太平洋では800m~1,000以深の深層水、800m~300mの中層水(北太平洋中層水)、300m~0mの表層水に違いがみられます。

図-4 館山沖、日本海の水質の比較

観測ポイントによる差はありますが、太平洋側水深1,000mで溶存酸素量は1.0ppmと極値を迎えます。また、日本海の海水とは特徴が全く異なることが判ります。

図-5 海水の、深さ方向の、諸特性の変化

従来、海洋深層水は補償深度200m(太陽光が届く深さ)を基準に定義されましたが、その特性を生かすためには最適な深度があることが判ります。

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