“マクロエンジニアリング”の奨め

日本マクロエンジニアリング学会という小所帯の学会があります。
縁あって筆者も入会させていただきました。
“マクロエンジニアリング”をご紹介させていただきます。

 

◆日本マクロエンジニアリング学会設立趣旨(1985年)

本会は、巨大事業にともなう問題を巨視的な観点から創造的に研究し、
マクロエンジニアリングという総合的な知識分野を拓くとともに、
それを人類の未来のために応用する活動を行うことを目的とし、
その活動を通じて会員相互の交流と人材の育成をはかり、その構想の普及をめざす。

 URL: http://www.jame-society.jp/index.html

 

◆時代の変遷とマクロエンジニアリングのもつ意味(2013年)
日本マクロエンジニアリング学会会長 新田 義孝

 

30年以上前にマクロエンジニアリングは、巨大なインフラを合理的に創造すること、構築することを扱う巨視科学であった。
今日、巨視的で人類にとって意味があることと言えば、インフラ創造とは言えない。
むしろ持続可能な社会を如何に構築するかを究極のテーマとして、宗教や経済そしてエンジニアリングなど多方面の知を結集して大きな課題に挑戦することである。
価値観の異なるネーションステートが、不足するかもしれない資源を囲い込もうとし、それが大きな不幸をもたらすのをいかにして回避するか、人口増加と経済発展を必要とする発展途上国で貧富の差が拡大し、それがテロリズムや宗教間対立を招くなどの問題を回避する方策を考察する、
すなわち地球規模で人類自身が作り出した‘いがみ合い’を解消する方策を、独裁者を含む世界中の為政者も市民も宗教家も受け入れることができる解決方法の原理を考察するのが、今日のマクロエンジニアリングの使命かも知れない。
日本マクロエンジニアリング学会でも、かつてはどちらかというと工学あるいは金融の面から巨大インフラの構築方法に興味を向けていた。
最近は経済工学という新しい分野で、経済と工学と、国際政治学、場合によっては宗教学や人口学までも統合して、世界の在り方を問う方向へとシフトしている。
まさに巨視的という言葉が工学・金融中心から社会科学中心へと推移している。
日本が抱える大問題は、隣の人口大国の拡張主義にあるが、もし巷で言われているように突然民主化が起きたら、その過程で発生する大規模な人口拡散にどう対処するか、民主化が定着したら、アメリカにとって日本は共産主義の防波堤ではなくなる。
その時の我が国は世界にとっての価値をどこに求めるか。もしイスラム世界が平均的に工業化、経済発展したらテロは無くなり、世界は安定化するのか。
こうした巨視的未来論をまじめに議論できるのは、当学会を置いて他にない。
大胆に未来を考え、大きな課題設定を行って、大雑把なりに解決の方向を示して、日本の灯台となりたいものである。

 

◆NPOマクロエンジニアリング研究機構設立趣旨(2011年)

URL: http://npo-rimep.org/

本機構は、マクロエンジニアリングという分野横断的・総合的エンジニアリングの実践について研究し、
多岐に亘る関連分野における相互の関連性に基づき、
自然環境問題の改善、都市問題の改善、資源・エネルギー・食糧問題の改善、等に向けての基盤整備、およびこれらに関わる新技術導入などのプロジェクトにおいて、プロジェクト推進者へのエンジニアリング支援業務を行い、
これによってプロジェクトを受入れる圏域住民活動の活性化と、この法人活動を通じて専門性を有する市民の社会参加の場を創出し、成熟した市民社会の構築をはかり、
これらをもって経済活動の活性化に寄与することを目的としています。

 

◆“マクロエンジニアリング”の奨め(2016年)
(株)デザインウォーター

明治初期、科学技術で日本を発展すべく、あらゆる工学の集まりの工学会が設立されました。 その後、機械工学、電気工学など専門分野ごとに分離し、取り残された土木工学は大正初期に専門分野の土木学会として分離しますが、工学会を継承、総合工学を任じていました(筆者は土木出身で、そのように教わったような気がします)。
時代は進み、土木工学も含め各専門分野は更に細分化され、進化してきました。しかし、ナノであれ、ITであれ、土木であれ、細分化された最先端だけでは現代の地球的課題の解決につながりません。 求められるのは、自然科学、社会科学、人文科学などを含めた、専門分野の進歩を活かす問題解決能力です。
現代を取り巻く包括的な課題に対しどう対処すべきは価値観、先見性を含め難しく、マクロエンジニアリングの役割・定義も難しく(?)言い回しは色々あっていいのですが、しっかりした基礎に基づく、学際を超えた総合科学、エンジニアリングが求められていると考えます。

 

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